旧 鈴 木 邸

「陶器の欄間がある古民家があるらしい」
そんな噂を耳にしたのが、旧鈴木邸との出会いでした。

懐かしい趣が残る下町の風情と、かつて港町として栄えた、数々の商家の立派な古建築に魅了され、
三津浜という街に足繁く通い始めたころの話。

三津の古民家・旧鈴木邸
初めてこの家の内部を見学させて頂いた時、立派なお茶室に心奪われました。
話に聞いていた陶器の欄間は、地元にあった三津浜煉瓦工場で焼かれたもの。
この家は三津浜レンガ工場の社長を勤めておられた鈴木重義さんのお住まいだったのです。

さり気ない意匠が上品で、三津浜の風流人たちの暮らしを偲ぶような家。
まさか数年後、自分がこの家に住むことになろうとは想像もしていませんでした。
数年後、家主さんが亡くなられて空き家になったこの建物を
お金があるわけではなかったし、建築についても素人に近い私が購入することになった理由は
「この建物を遺したい」という思いだけだったと思います。
無謀とも思える挑戦。力を貸してくれた、たくさんの方々のおかげで、旧鈴木邸は公開にいたりました。

この建物で暮らすこと、この場所を知って頂くこと、残していくこと
夏は蚊帳を張り、蚊取り線香を焚いて、
冬には炭を起こして、掘りごたつと火鉢で暖を取り、
七輪を使って穴子を炙ったり、干し柿を吊るしたり、
かつての人たちには当たり前だった暮らしは、新鮮な感動にあふれています。
建物と向き合う時間は、昔の職人たちと語るひとときでもあります。

エアコンも、テレビもない暮らし。
ちょっと不便ですが、
季節とともにある心豊かな暮らし、心穏やかに過ごせる時間。
きっと心に響く何かを見つけて頂けるのではないかと思います。

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